ゴミ屋敷の住人の中には、外部からの支援を頑なに拒む人が少なくありません。家族や友人、行政や専門業者が手を差し伸べようとしても、それを跳ね除けてしまうことがあります。このような支援拒否の背景には、様々な複雑な心理が隠されています。まず最も多いのは、「恥ずかしさ」や「罪悪感」です。自分の住まいがゴミ屋敷状態であることを知られるのが恥ずかしい、あるいはそこまで溜め込んでしまったことへの罪悪感が強く、誰かに見られること、助けを借りることに強い抵抗を感じます。自分の無力さやだらしなさを認めたくない、という気持ちも働きます。次に、「変化への恐れ」が挙げられます。長年ゴミ屋敷状態で生活してきた人にとって、その環境はたとえ不潔であっても、ある意味「慣れ親しんだ空間」であり、心理的な安定をもたらしていることがあります。そこから抜け出し、生活を大きく変えることへの不安や恐れが強く、現状維持を選んでしまうことがあります。片付けが進むことによって、自分がこれまで見て見ぬふりをしてきた問題(孤独、経済的な困窮、病気など)と向き合わなければならなくなることへの恐れも影響しているかもしれません。また、「プライドの高さ」も支援拒否の原因となることがあります。他人からの助けを借りることは、自分自身の力では何もできないことを認めることだと感じ、プライドが許さないという心理が働くことがあります。特に、以前はしっかりしていた人や、周囲から尊敬されていた人にこの傾向が見られることがあります。人に頼ることに慣れていない、あるいは頼るべき相手がいないという孤独感も、支援を拒む要因となり得ます。さらに、セルフネグレクトや精神疾患(うつ病、認知症、ため込み症など)が背景にある場合は、そもそも自分の状況を正しく認識できていない、あるいは改善する意欲を失っているため、支援の必要性を感じていない、ということもあります。彼らにとっては、現状が「普通」であり、何の問題もないと感じていることすらあります。