ゴミ屋敷になってしまう原因は様々ですが、その根底に「孤独感」が潜んでいるケースは少なくありません。社会的に孤立し、人とのつながりが希薄になると、部屋がゴミや不用品で埋め尽くされても、誰にも気づかれない、誰にも注意されないという状況が生まれます。この「誰にも見られていない」という安心感のようなものが、片付けへの意欲をさらに削ぎ、状況を悪化させていくことがあります。孤独を感じている人は、自分の生活空間がどんな状態であっても、それを他人に見られる機会がないため、外からの目が働きにくくなります。また、孤独感は精神的な落ち込みや意欲の低下を招きやすい状態です。気分の落ち込みが続くと、身だしなみを整えたり、食事を作ったり、部屋を片付けたりといった日常的な行為がおっくうになります。エネルギーが枯渇したように感じられ、目の前のゴミを片付けるという単純な作業すら、非常に大きな負担に感じられてしまうのです。家にいる時間が長くなる一方、社会的な交流が減ることで、生活リズムが乱れ、昼夜逆転のような生活になることもあります。このような状態では、決まった時間にゴミを出すといったルールを守ることが難しくなり、さらにゴミが溜まりやすくなります。物を捨てる行為は、ある意味で過去や思い出との決別を伴います。しかし、孤独を感じている人にとって、物は単なる所有物以上の意味を持つことがあります。人とのつながりが少ない分、物に愛着を感じたり、物が自分の存在を証明するものだと感じたりすることがあります。「これはあの人がくれたもの」「これを使っていた頃は楽しかった」といった思い出の品だけでなく、たとえガラクタであっても、「いつか使うかもしれない」という漠然とした期待や、「これを捨てたら何もなくなってしまう」という不安感から、物を手放すことができなくなります。物は孤独を埋めるための代替物となり、溜め込むことで心の隙間を埋めようとする心理が働くのです。ゴミ屋敷の住人が支援を拒む背景にも、孤独感が影響していることがあります。他人からの助けを借りることに抵抗を感じたり、自分の状況を知られるのが恥ずかしいと感じたりする気持ちは、孤独によってさらに強まる可能性があります。誰にも頼れない、自分は一人だという思い込みが、支援を受け入れる妨げとなるのです。